『夜の踊り子』

久々にこのblogでアルバムレビュー、ライブレポを書こうとして過去のサカナクションの履歴を見てみたら、自分、 SAKANAQUARIUMシリーズは全部行ってるのな!自分けっこう好きじゃん、サカナクション
多分サカナクションがグワーッときたのは2010年の『アルクアラウンド』あたりだったと思いますが、まあ、基本的にはデビューアルバムから潜在能力抜群だったわけで、総合力という意味ではここ1、2年の爆発的な急上昇っていうのは当然見逃せないですが、もともとは北海道で宅録している時から多分すごいバンドだったんだと思います。だって、スナックで安全地帯歌ってる僕のお客さんが知ってるぐらいですから!

今回のアルバムはTVorCMタイアップ付いた3曲のシングルが入ってるということで、話題性も抜群だったと思うんですが、個人的にはそんなに注目してなかったというか、一応iTunesには入れたんだけど、真面目に聴いてない状況が続いてました。もちろん『ミュージック』とかめちゃくちゃ好きですし、江口のドラマのエンディングでいきなりかかったときはそれなりに興奮しましたし、幕張メッセの参戦も発表された時から決めてましたから、興味が無かったわけではないです。ただ、やっぱり自分の中でちょっと聴こうかっていう気にならないというか、聴くにはちょっと腰上げないといけない状況に陥っていたのは確かです。
なんでそういう状況になってしまったかっていうのを、ちょっと自己分析してみると、青田買い根性というか、自分はまだそれほど世間様に注目されていないアーティストたちを見て自己満足して、俺はこんなかっこいい音楽聴いてるんだぜいいだろざまあ見ろって、密かにほくそ笑む心境が好きで、サカナクションに関しては、安全地帯が十八番の大企業の課長さんまで知ってるこのご時世、そうやって自分本位の勝手自己満足ができなくなってしまった状況になってしまったからであります。そうやって離れたアーティストは数知れないわけで、こういう書き方をすると誤解を招くかも知れませんが、そういう場合は往々にしてアーティスト側も変わってしまうという風向きもあるように感じるのです。まあ、友人の結婚式用のDVD作るのにマジで忙しかったって言うのもありましたが。


『sakanaction』、バンド名をアルバムタイトルにするときって、相当自信ないとできないよね。腰上げないと聴かなかったアルバムですが、今までのサカナクションを継承してかつまだ進化の途上であることを感じさせるのに充分なアルバムですねこれ。もともとクラブミュージックの要素を取り入れた曲調やアレンジを得意とすることは変わらないんですけど、2曲目の『INORI』なんかはホント挑戦的だなぁと思いました。これって、ハウスミュージックを主体としたクラブイベントでかかってても全然違和感ない出来ですよね。こういう部分に発展途上をまだまだ感じるんですが、シングル曲はさすが総合的な完成度が高すぎます。中盤の『M』『Aoi』は初期からよくあったROCKの流れを壊さずに、終盤まったりとした感じで終わっていく。良いアルバムだと思います、ホント。

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ライブ。
なんか知りませんが、Dolbyの6.1chサラウンドとかで、スピーカーがいつもの倍以上セッティングされているらしく、twitterなんかで話題になっていました。

会場に入ると、どうもスピーカーが多いように感じましたが、ライブ中は正直あまり音の凄さは感じませんでしたねぇ。場所が悪かったんでしょうか(B後方)。ただ、アルバム曲を主体にしたライブは当然興奮しましたし、パフォーマンスはさすがでした。初期の曲がちょっと少なかったですが、『三日月サンセット』とかやって会場ちょっと白けてたし、今日は最近の曲主体で正解だったかもしれないと思いましたね。
セットリストはこちら。

印象的だったのは、山口一郎がアンコール中のMCで言っていたこと。大体こんな感じだったと思います。
「今回のアルバムは全て自宅で録音した。タイアップの付いた3曲があって、外に対して音楽を発信していくのもすごく楽しいし、大事だと思う。だけど、外に向いている今、自分たちが本当に好きな音楽はどんなものかを確認したくて、もう一度音楽と向きあうために全部宅録で引きこもってアルバムを作った。」
いやあ、なかなかアルバム聴くのに腰上げなかった俺に、見事に答え出してくれましたよ彼。

山口一郎っていうのは、常に欝っぽい感じがして、何かに追い込まれている感じがするんだかが、真摯に音楽に向き合う姿勢がそう錯覚させているのかな。彼を含むサカナクションのメンバーたち、よく「真面目」と形容されるが、音楽に対してものすごくピュアに真っ向から取り組んでいるのは確かでしょう。大根さんもつぶやいていますが、とにかく彼らはすごいことになっているよ、いま。


『夜の踊り子』がクソかっこよかった。
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