『スシェンコ・トロブリスキー』

モールルZEPP

元旦以来の彼らのライブ、これでしばらく見られなくなるのかと思うと、少し感傷に浸るものかと思ったが、彼らは全くそれを感じさせず、いつも通り全力疾走、全身全霊で歌い続けた。1秒たりとも目を離せないライブだった。

そもそも最初にモーモールルギャバンを知ったのは、『クロなら結構です』のジャケットを自宅近くのレンタルCDショップで見かけたのが始まりだったと思う。ジャケ買いならぬジャケ借りしてデータ化したCDはしばらく流し聴き程度でほとんどまともに聴いていなかった。2011年のRIJF後だったか、Twitter上でライブの評判が恐ろしく高い彼らに興味を持ち、iTunesに入っている音源を真面目に聴いてみた。かなり衝撃的だった。これまで聴いていなかったことに対して、ものすごく後悔みたいなものが沸いてきた。いわゆる変態的だったり少しだけ病的な描写を、その歌詞感からは想像できない美しいメロディーと混沌としたバンド演奏に乗せる音楽は、ほかのジャパニーズロックとは明らかに一線を画していた。

クロなら結構です

クロなら結構です

彼らのライブはいつでも全力疾走、全身全霊。フラフラになるまで歌い演奏するのがスタイル。活動休止前の最後の東京の今日もそれは変わらなかった。個人的に彼らのライブを見ているといつも気持ちが高ぶって目頭が熱くなる瞬間が何度も訪れる。それがなぜか、今日のライブ中に彼らを見ながら考えていた。彼らは33歳ということで、さすがにその歳になるとやり切れない思いがあったり下を向いたり落ち込んだりしたくなることもあるだろう。情けない顔をして誰かにかわいそうと思われたくなる日もあるはずだ。でも彼らはそんなことを一切感じさせないライブをやる。お客さんにそんなマイナス要素を一切感じさせない陽気さで全身全霊歌っている。彼らの音楽は大人の悲哀をうちに秘めた底抜けの明るさで出来上がっているのだろうと思う。だから彼らのライブは、あんな馬鹿なことをして変態的なコールアンドレスポンスの連続でも、なぜかみんな感動して熱くなるんだと思う。あとは大阪と石巻を経てしばらくライブ活動は休止するとのことだが、きっとパワーアップした彼らがすぐに帰ってくると信じています。新譜も楽しみなり。新譜のジャケは、橋本愛。今日のライブで似ている女の子見たんだけど、あれは・・・、まさかね。
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ