『俺たちの旅』

野音、晴れた

※長文です。
いつもそこに行くと彼は人一倍動き回っていた。正直最初は鬱陶しいなと思っていたが、慣れてくるとだんだん面白かったり、反対側にいながら彼の動きにはいつも注目してしまうようになっていた。時にはトランポリンに乗ったり、銅鑼を激しくたたいたり、タオルをぶん回したりするのが彼の役目だったらしかった。
ある日、彼がなんでそんなに動いて回って俺たちを煽るのか理由を語っているのを見た。「自分が一番のファンだから。」
それから彼に対する見方が変わった。彼は俺たちのリーダーだったんだ。だから俺はいつも彼と一緒になって踊ろう。騒ごう。いつの間にか鬱陶しかった彼を大好きになっていた。俺はいつも反対側にいたが、走って目の前まで来たり、着ているものを脱ぐくらいエキサイトしたり、そんな彼はいつも素敵に見えた。


伊藤洋一GOING UNDER GROUNDを脱退することが発表されたときは呆然とした。GOING UNDER GROUNDはキーボードがいないと成り立たないどころか、よういっさんがいないと成り立たないバンドなんじゃないのか?よういっさんは去年生まれた長男の成長を見守るためバンドの脱退を決意したという。GOINGは10年バンドだが、今まで一度もメンバーチェンジせず続いてきたバンドだし、これからどうなっていくのか不安になった。何よりもよういっさんのいないライブは考えられなかった。最後の5人の姿を見たくてすぐにチケットを取った。最初は行く予定はなかったが、ラッキーなことにチケットが取れた。


GOING UNDER GROUND TOUR 2008-2009 “LUCKY STAR” @日比谷野外大音楽堂
歌詞の中に雨を歌うことの多いGOINGの野音は過去2回続けて大雨の中で行われたが、今日は晴れた。2年前のTWISTERツアーファイナルは台風の中カッパ着て見たことを思い出す。
ライブは珍しく『ハートビート』から始まった。ハートビートピースでピースしてるよういっさんはいつものよういっさんだ。できれば今日はよういっさん側で見たかったが、いっさん側。『グラフティー』では今日もこぶしを上げてみんなを盛り上げたよういっさん。やっぱり俺たちGOINGファンのリーダーだよね。
そしてなんと今日は序盤で『同じ月』を持ってきた。この曲をライブで聴くのは多分CDJ04/05以来。いきなり目頭が熱くなった。この曲のPVの終盤で映るよういっさんの表情が大好きで、当時何度も見た。
今回のアルバム『LUCKY STAR』は正直ちょっといまいちだなと思っていた。先行のシングル『いっしょに帰ろう』の出来が良かったので、なおさらだったが、素生君は5人でこのアルバムを作れたことを誇っていた。ライブ中盤でアルバムの曲を連続してやったが、こうやって聴くと優しくていい曲がたくさんだなと思った。よういっさんは自分の息子にたくさん聴かせるんだろうな。
『TRAIN』から『ショートバケイション』そして、『Holiday』のタオルぶん回しあたりでは、よういっさんが今日GOINGを脱退することは忘れて一緒にはしゃぎまくった。このあたりで、今日おとなし目だったライブの観客もみんな大盛り上がり。
そして本編は大好きな『TWISTER』のあと、インストの『Twinkle』をはさんで名曲『トワイライト』で終わった。ここではよういっさん、ちょっと控え目だった。
アンコールを求める拍手が鳴り響いてもなかなかメンバーは出てこない。ようやく出てくると『センチメント・エクスプレス』。よういっさんの銅鑼もこれで最後だ。『ミラージュ』『世界のまん中』でアンコールも終わりだが、素生君は泣いていた。もちろんこれで観客みんな帰るわけなくダブルアンコール。素生君の「最後に5人で俺たちの演奏したい曲やって終わりにします」で『俺たちの旅』がはじまった。あまりライブでやらない曲だが、5人で最後にやる最高の演奏だった。素生君が泣き崩れていた。
曲が終わるとステージの4人がよういっさんの方を向いた。ナカザがよういっさんを呼んでよういっさんはマイクの前に立ち言葉を選んでぽつぽつと話し始めた。
「俺がGOINGを辞めると言ったとき、ほかの4人は迷わず続けると言ってくれました」
「いままでサイコーに楽しかった!!!」
最後に素生君の「かっこわりぃ」のあと、よういっさんは「さよなら!」と言ってステージを去っていった。


かっこわりぃことにその後席に座ってひとりで号泣した。よういっさんの『サイコーに楽しかった!!!』が頭に響いてこれまで見てきたライブやいろんなことを思い出して、これから彼の姿を見れないと思うと涙が止まらなかった。GOINGタオルで涙と鼻水をいっぱい拭きました。
今日は野音から東京駅までゆっくり余韻に浸りながら歩いて帰った。

GOING UNDER GROUND

01.ハートビート
02.STAND BY ME
03.Mr.Lonley
04.グラフティー
05.同じ月を見てた
06.夕
07.ラストダンス
08.How do you feel?
09.すべての音楽が鳴り止んだあとに
10.トーキョー・キャンパス
11.LUCKY STAR
12.なんでぼくらは
13.TRAIN
14.ショートバケイション
15.Holiday
16.ボーイズライフ
17.TWISTER
18.Twinkle
19.トワイライト
En1
20.センチメント・エキスプレス
21.ミラージュ
22.世界のまん中
En2
23.俺たちの旅
24.521


かよわきエナジー
よういっさん、本当にありがとう。どこかのライブ会場で盛り上がるあなたとまた会いたい!